こんな俺らでも。 (ページ14)

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らうーるのおはなし。3 ページ14

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つい半年前の話。

週一回の登校日、学校に向かっている途中。
道端で中学の番長とすれ違った。
必死に被っていた帽子を深く被り直して顔を隠したけど、ダメだった。

「お前、ラウールじゃね？」

「車椅子大変だな！はははっ」

まだバカにしてくるのか。

必死に車椅子を漕いで逃げようとしたけど当たり前に追いつかれるわけで。

路地裏に連れてかれた。

車椅子から引きずり下ろされて…

あぁ、中学生のときみたい。

殴られて、顔が腫れた。

下半身は蹴られても感覚がないから痛くない。

痛みはないけど、傷は出来てる。

人が通る気配がないこの道でやるだけやって

番長は俺を置き去りにどこかへ行った。

車椅子も届かない場所で倒れてる。

あ、もう終わりだ。

今度こそ俺は消えるんだ。

そう思って意識を飛ばしかけた頃、声が聞こえた。

「君、大丈夫か？」

言葉を発する気力もない僕は首を横に振った。

「救急車呼ぶから少し待ってな。車椅子も君の？通院してる病院ある？」

色んな質問が飛んできたけど、首を振ったり、診察券が入ってるカバンを指さす程度しか出来なくて。

救急車を呼んでくれたことと
僕を抱きかかえて大丈夫だよと声をかけてくれたことで安心した僕は意識を飛ばした。

目を覚ました時に助けてくれた男の人がそばに居てくれた。

目を覚ました時に誰かがいてくれる事が初めてで、すごく嬉しかった。

僕が事務所に入ることになったキッカケがこれ。

助けてくれた男の人っていうのが滝沢さんね。

この壮絶な過去を誰かに打ち明けたのも滝沢さんが初めて。

メンバーに話す勇気は出ないけど

いずれは話さなきゃいけないことだろうな。

話してもみんな引いて、
相手にしてくれないんだろうな。