こんな俺らでも。 (ページ19)

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あべとさくま。ページ19

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緑side

この仕事を始めて1ヶ月。

俺は未だに康二以外のメンバーと馴染めずにいた。

康二は持ち前の明るさで耳が聞こえないなりにみんなとコミュニケーションをとっていた。

俺はうるさいのがストレスになってパニックを起こしかねないから、
イヤーマフをして端の席で本を読んで待機することがほとんど。
撮影中はイヤーマフだとバレちゃうからノイズキャンセリング機能付きのワイヤレスイヤホンをしてる。

1本目の撮影を終えて定位置となったソファに座る。

ちょっと今日は疲れちゃったな…

さっきまでは撮影中だからってアドレナリンが出てたのかな。
ふと落ち着いたら耳鳴りがしてきた。

緑「んっ、、」

イヤホンをしたまま手で耳を塞いだ。

目眩もしてきて、ぎゅっと目を閉じて、

ソファの上で座りながら

みんなに背を向けるように蹲った。

すると後ろから背中に温もりを感じた。

背中を摩ってくれている…

なんだか凄い落ち着く。

薬に頼らないと落ち着かない目眩と耳鳴りが

人の温もりで和らいでいる。

ほとんど治まったからイヤホンを外して視線を上げるとそこにいたのは佐久間だった。

いつもはうるさくて毛嫌いしてたけど。

桃「阿部ちゃん、落ち着いた？」

優しい声で俺にそう聞いた。

背中を摩ってくれた感謝の気持ちと

偏見で毛嫌いしていたことに対する申し訳なさで

なんだかぐちゃぐちゃになった感情が

涙として1粒流れ落ちた。

桃「辛い時はお互い様。みんなで助け合お？だから我慢しないでっ！」

緑「…ん、ありがとう。」

ここからかな。

佐久間とプライベートでも会うようになったのは。