こんな俺らでも。 (ページ30)

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こーじとさくま。3 ページ30

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橙side

はっきり見ちゃったのは事実。

たぶん見られたくなかったものやろな。

脱衣所から出てきて隠れるように自室に入っていった佐久間くんの背中はいつも以上に小さく感じた。

佐久間くんが部屋に入ってすぐくらいに照兄が来てん。
「佐久間の荷物が間違ってうちの部屋に来ちゃったから渡しといて」って。

コンコンって何回ノックしても出てこなくて、

「佐久間くん入るで〜」って声をかけてドアを開けた。

部屋を覗くとカッターを片手に呆然としている佐久間くんの姿。

何かに気づいたようにパッと立ち上がって俺の方を向いた。

俺の存在に気づいてなかったのか、
かなりびっくりした顔だった。

橙「さくまくん、、？」

桃「こ、、じ、、」

口の動き的に俺の名前を呼んだんだろう。

手のひらが赤く染まったまま何かを探し始めて

部屋を徘徊し出した。

橙「佐久間くんどしたん」

俺は冷静を装って佐久間くんを助けようとした。

でも声が聞こえなくて何も出来なくて。

とりあえず、ティッシュを差し出した。

佐久間くんは何枚かティッシュを取って手首を抑えた。

佐久間くんが近くに来て気づいた。

過呼吸起こしそうやん。

肩で息してて、いかにも苦しそうで。

どうしたらいいかわからへん…

ポケットからスマホを取り出して、
電話帳の1番上をタップした。

聞こえないから普段は電話をしない。

お願い、察してくれ…

スマホのディスプレイが切り替わり、
数字が表示され始めた。

出てくれたんだ。

「阿部くん、助けて！」

ごめんな、耳キツイよな…

阿部くんなら、、佐久間くん大丈夫やんな…？